学校法人安城学園
『教育にイノベーションを』−安城学園100年の歴史と展望−
第3章 拡張の道は広く - “新生”の呼称 #4 (第128話)
公開日 2012/10/09
「これからの社会の高度化、複雑化に伴う生活文化現象の変化をどう把握し対処していくか」

 愛知学泉女子短期大学は、従来の服飾、生活、家政、幼児教育科の4科に新しく国際教養科を加えて5科体制となったが、これら各科の有機的な連繋を図る上でも短期大学の整理統合をしていかねばならない課題が浮かび上がってきた。
 国際教養科の設置はまた、新しい文明の下での家政学像を追求している大学のあり方にも影響し、国際教養科と大学の欧米文化コース並びに家政学との関連をどのように結びつけていくか、家政学部家政学科という現体系の改組が問題となった。
 委員会などでこれらの課題が検討され、家政学という学問から経営学という学問が派生して生まれたことを受けて、大学に経営系の学部を増設することにした。
 直ちに準備委員会が発足。用地の取得について、豊田市に協力を要請した。

* * * * *

 その大学学部増設は、昭和62(1997)年、経営学部経営学科の開設として実現した。同時に経営研究所を開設、研究機能も充実した。

「私の夢は家政学部だけに止まることなく展開してゆき…何々学部へと夢は際限なく続くのです」

 思えば、創始者・寺部だいが夢見た将来の学園の様が、多少のデフォルメはありながら、はっきりと描き出されたといってよかった。
 だが、時代による“デフォルメ”は避けられなかった。その変形とは、経営学部増設と同時に、家政学部を男女共学としたことだった。
 「家庭におけるさまざまな生活形態を科学的に分析・研究し、実践的な試みを研究する学部」と言われる家政学部は、従来、女子を主な対象とした学問分野として見られていた。それを、家政学を創ることによって家庭を守る婦人のための学問から生活科学へと発展したとはいえ、男女共学制にして男子にも門戸を開放するということはまさに画期的な対応であり、「全国初めて」のレッテルが貼られることにもなった。
 しかし、これも、清毅がこれまで随時見せてきた英断の一つだった。
(つづく)
※ 文中敬称略
 
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