学校法人安城学園
『教育にイノベーションを』−安城学園100年の歴史と展望−
第2章 刻苦の学園づくり - 新たな礎石を固め #1 (第95話)
公開日 2012/08/28
鳩山文部大臣の来校(左から山崎延吉、寺部だい、鳩山文部大臣)「これらの作品はみんな拾い集めの材料からできあがったものでございます。
この羽根布団、子ども用のケープ、襟巻(えりまき)などは、生徒たちはほとんど農家で鶏を飼っておりますので、それぞれの家で拾い集めさせた抜け毛をきれいに洗い消毒したものを使っております。
こちらにあります座布団と夜具も学校に落ちています縫い糸の屑で作っております」
「ほう。抜け毛や屑糸でねえ…」
「縫い糸はどんなに短いものでも一年間注意して拾い溜めておきまして、それを横糸にして機に織りますと、こういう風合いのものができ上がります」
「一年間の拾い集めでこんなになるのかね」
「ハイ、座布団が10枚と、普通の夜具3枚の一組ができ上がりました」
「うーん、これは大都市の学校などでは真似ができない、立派なものだねえ」

 昭和7(1932)年4月22日、安城女子職業学校では物々しい一行が来訪していた。だいが「これはすべて廃物利用品です」と、胸を張りながら、教育行政のトップに出品物の説明をしていた。
 ときの文部大臣・鳩山一郎が教育視察のために西三河地方へ来た。岡崎で美合の種畜場、梅園小学校、師範学校を視察したのち、山崎の案内で安城農林学校へ行き、次いで安城女子職業学校へ寄った。「農業と家事科とを結びつけた特色ある女子教育機関」ということで、特に視察したのである。
 学校では、学校の特色の一つとして誇る、廃物利用製品の数々を披露した。かねて準備しておいた「廃物利用展」で、自校独特の創意による作品を、小物の利用品なども含めて2千点を展示した。
 この陳列に、鳩山は驚きの眼を見張った。そして、この“利用更正品”に興味を持ち、またその出来に満足した様子を見せた。

「廃物もこれほどに活きるとは…。これだから私は本校を見に来たんです」

 鳩山はすっかり感心した。
(つづく)
※ 文中敬称略
 
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