学校法人安城学園
『教育にイノベーションを』−安城学園100年の歴史と展望−
第1章 社会適応の人材育成 - 教育改革を実践 #4 (第54話)
公開日 2012/07/05
岡崎城西高等学校 安城学園が今なぜ、社会人基礎力育成を通して、学生・生徒に学力・体力とともに社会に生きていくために必要な適応力―コミュニケーション力の育成に傾注するのか。
 寺部理事長は「私たちの仕事はまちづくりのためのひとづくりである」と明言している。その思いの基底には確固とした理念がある。

「教育は常に世界の動向・時代の要請・地域の要求という磁場の中で、理想を失わずにしかも実際的に設計する必要があると思います。そういう意味で、学校法人安城学園は地域とともに生きる学校・地域をともにつくる学校でありたいと考えております。自分の住んでいる、あるいは自分の通っているまちに無関心な教職員の行う教育は、単なる知識と技術の伝達だけに終わってしまい、教育と言えないと思います。まちをつくることがひとをつくることにつながり、そして、まちをつくることが国をつくること・世界をつくること・地球をつくることにつながるそんな教育に全力を傾注したいと念願しております。」(「安城学園90年誌」巻頭挨拶より)

 この思いは、学園がこれまでたどってきた道程に基づいて構築されたものだった。
 創立者・寺部だいが学園の“定礎”たる裁縫塾を安城の地に創り、そしてそれを一大学園に発展させた軌跡は、“官尊民卑”の中“独立独歩”で運営するという私学の宿命を負いながらの闘いでもあった。寺部だいは、一般的な視点で見れば、家族的にも経済的にも“不遇”と言える境涯に育った。だからこそ、刻苦精励、自らを“開発”、自らを高めていった。
 人間として生まれた限り男であれ女であれ、誰でも無限の可能性を持っているという思いから、教育は潜在能力の開発と信じ、また地域のための、地域に生きる教育を目指した。そのDNAが今「私たちの仕事はまちづくりのためのひとづくりである」という“マニフェスト”に表れている。
 それは安城学園にとって“こだわり”といってもいいかも知れない。それが建学の理念「庶民性」と「先見性」の遵守である限り、堅守されるべきものだからである。
 そして、学園でいま展開される教育のイノベーションは、創立者・寺部だいの想いと願いを具現化していくものでもあるかもしれない。
(つづく)
※ 文中敬称略
 
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